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大学にチャレンジ(1)

北村明美さん カナダ在住
                      日本人補習校小学校理科教師
                      ジャパニーズ・ソーシャル・サービス ボランティア
  

プロフィール
1983年、日本の短大(英語専攻)を卒業後、航空会社(ANA)の一般職に就職し、15年間勤務。在職中に、結婚・出産し、育児休暇を1年間取得後、同じ部署に復帰。その後、国際線予約専門部署に転属し、スーパーバイザーとして社員教育に携わる。海外出張も何度か経験する。家事・育児を両立しながら働き続けられたのは、女性の社会進出に理解のある職場で女性社員が育児休暇を取得しながら働き続けやすい環境であったことと、夫の理解が大きいと思っている。
1999年4月、企業の駐在員としてカナダ転勤となった夫に同伴し、4歳の子どもと共にトロントへ(7年後に家族で永住を決意し永住権を取得)。1999年9月から、ヨーク大学のESLに通い、2000年ヨーク大学に入学。大学院を経て、2006年10月環境学・修士を取得し、卒業。2007年4月から、日本人補習校小学理科教師となる。


―あなたが、学んだ学校と専門は何ですか?

York University (ヨーク大学)
Environmental studies (環境学) B.E.S.(学士)およびM.E.S.(修士)


―なぜ、「環境学」を学ぼうと思ったのですか?

私が環境学を選んだのは、子どもの体が弱かったので自然食や有機野菜に関心を持ち、生活クラブに参加したことがきっかけで、地球の環境に興味を持つようになったからです。
もともと、学ぶことへの意欲は、在職中からあり、働きながら大学のオープンスクールなどには参加していました。また、同僚には学ぶ向上心を持った人もいたので、自分にとって学ぶことは自然でした。


―カナダの大学に入学するためにどんな準備をしましたか?

入学する大学(ヨーク大学)のアカデミックコース(大学進学コース)のESLに通いました。通常、英語が第2言語の生徒の大学入学には、TOFELでの基準点が必要ですが、ヨーク大学独自の英語テストに合格すれば、TOFELは免除されます。(ちなみに合格者の中でも、アカデミックコースの英語テストでトップレベル以外で合格した場合は、一般教養として、ESLのクラスを12単位取得することが義務付けられています。)
日本で取得した大学の単位はほとんど活かされなかったので(自分の場合一般教養15単位分の変換のみだった)、4年間学びなおすことになりました。

夫は、私が大学に入学することに対して協力的で、子どもの保育園探しも協力し、いろいろとサポートしてくれました。また、子どもがElementary school(小学校)に通うまではChildcare centre(保育園)を利用しましたが、日本にいるときも1歳から保育園に行っていたので、子どもを預けることに関しての心配はありませんでした。ただ、日本語環境の中から、いきなり一日の大半を英語環境の中に入れなければならないことへの不安はありました。


―大学に通うためにかかった費用は、いくらでしたか?

大学授業料―1単位160ドル 4年間(105単位)で16,800ドル(約1,680,000円)
大学院―1ターム1,830ドル×5ターム 9,150ドル(約915,000円)
子どもの保育園費用(2年間) 朝8時から5時まで預けて、一ヶ月約600ドル(約60,000円)

大学授業費は、自分の退職金でまかないました。
留学生だと、カナダ現地人の2倍から3倍の授業料を支払いますが、夫がカナダで在職し、税金を支払っていることで現地在住者と認められカナダ人と同額の授業料ですんだことは、幸いでした。
また、カナダの大学院は、院生が教授のところで働いて給料をもらいながら学べるシステムがあり、私も大学から要請されて働いていましたので、大学院の費用はほとんどそれでまかなうことができました。


―そのかかった費用に対して、「元は取れている」と思いますか?

元は取れていると思います。自己投資として高いとは思いません。本だけでは学べないようなことを経験し、学ぶことができたと思います。


―大学で学んで良かったと思うことは何ですか?

英語力、特に「書くこと」と「読むこと」の能力がついたことです。
1〜2年生の間は、英語の授業を理解するために、とにかく必死で勉強しました。
もともと、仕事の関係で英語は身近であったし、海外出張も、英語での会議もこなしていたので、ある程度の自信はありましたが、大学で授業を受けてみて、自分の英語能力のなさに自信を喪失しました。
けれでも「やりたい意欲」があったので、がんばれたのだと思います。ヨーク大学に通って初めて「大学に入って勉強している」という実感を持てたような気がします。
また、生徒や先生などいろんな人との出会いによって、人間関係の広がりができました。
もし、「駐在員の奥様」として過ごしていたら、こんなにも豊かな人間関係はもてなかったと思います。


―これから、大学にチャレンジする後輩たちに一言どうぞ!

私の好きな言葉は、
“Where there is a will, there is a way.” 「意志あるところに道あり」です。
やりたい気持ちがあればできるのではないかと思っています。
もちろん、周りの協力もあってできるということも忘れてはいけないと思うけれど、協力は自分の気持ち次第で、何とかなるのではないかと思います。
常に「やりたい」という気持ちを持つことが大切だと思います。


―ありがとうございました。


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