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防災・災害復興フォーラム 報告書

第2回

防災・災害復興事始フォーラム 報告書(名古屋市・第2回分)

開催日時

平成18922日(金) 午前10時から午後3時(60分休憩

開催場所

つながれっとNAGOYA セミナールーム1
参加者数 10

講  師

石井布紀子さん ()コラボねっと代表  
フォーラム概要 午前、午後それぞれの概要は下記のとおり。



<午前の部>

     2回目のフォーラムとなった今回、初めての参加者もあったため、自分がどのように防災と関っているのか、また初回の参加者には2ヶ月間の変化も含め、それぞれ簡単に語っていただいた。講師の石井さんからは、昨今の災害地域などでのコーディネーターとしての活動から、「行政主導の復興支援では、本来ならば個人個人の痛みに寄り添うべき支援が、物質的なもの(それも最低限の)だけにとどまっている」との現状が語られた。

     その後、参加者が@ひとり一人の私Aそれぞれの所属する家族としてBご近所の底力としての3つのグループに分かれ、災害前後の困難と対策を時系列に考えた。

<午後の部>

     午後は、午前中に話し合ったものをまとめ、さらに、全体で、重要であると思われる事がらを出し合った。(下記、表1参照)

     石井さんが話し合いの中で、防災・災害復興支援とは、我慢することではなく、気持ちよく生活することを支援することであり、それには、日常から自分が快いと思う価値観を大切に生活することが必要であると語っていた。女性の視点を活かした防災を考える上で、大きなヒントとなったように思う。

     以上の話し合いをふまえて、1月の防災フォーラムでは、当事者性を持った者どうしがつながって(テーマ型コミュニティ)立ち上がる力をつけるために、日常の困難から災害時の困難を考えて、困難を解決しプラスに転換していく力をつける場としていくことになった。また、同時に防災グッズや防災食の展示をすることとし、それぞれ情報を集めておくこととした。  以上
                                             

表1 時間の経過ごとに考えうる困難や対策(全体)

  事前         その時       30分後       3時間後        3日後      3週間後          3ヵ月後
一般的な状況
・自分の命を守る ・助ける側と助けられる側の判断⇒力を結集して救出

・家族の安否確認(メールが有効)
・安全な場所へ ・避難所生活が本格化。
・給水車がくる。・ゴミの撤去。
・問題が顕在化(DVなど)
・ライフラインの復旧
・仮設住宅への入居・義援金
困難や対策など ・子どもが喘息で、ほこりや煙に弱いので、子ども本人も親も困難がある。

・アパート、マンションの住人を知らない。
・近隣の状況がわからない。

・個人、社会別の自分を把握していないと対応に困る。

・変化があり楽しく防災訓練ができれば、訓練が継続できる。

・保育園の耐震状況がわからないので不安。

・いざというときに生きるために、どのようなことをすれば自分ががんばれるか認知しておく。


・怪我をしたときにどのように対応したらよいのか(搬送、病院)⇒基本的には、緊急であれば大きな病院、緊急でなければ避難所

・避難所に真っ先に到着したときどうしたらいいのか不安。⇒なかなかそのとおりにならないので、臨機応変に対応を。
・働く女性たちの支援(就労サポート)

・子育て支援・片付けの際に自宅に子どもの保育に来てくれる人がほしい。

・ひとり親家庭へのサポート。

・集団管理においては、女性の力が発揮できる。
・仕事がなくなるかもしれない。⇒起業支援(仮設で美容院、保育園など)

・女性にとくにメリットがある、ジャパン・プラットフォームのような基金を作りたい。

・仕事に戻ったとき、介護が必要とまではいかない高齢者のことが心配。
                                                                                              以上 (高島由美子)
                                      



                                                                 

防災・災害復興事始フォーラム 報告書(岐阜市・第2回分)

開催日時

平成18925日(月) 午前10時から午後3時(60分休憩)

開催場所

岐阜市女性センター  クラフト室
参加者数 5

講  師

石井布紀子さん ()コラボねっと代表  
フォーラム概要 午前、午後それぞれの概要は下記のとおり。


<午前の部>

     1回目のフォーラムから2ヵ月後の今回。はじめに、講師の石井さんから、ここ最近の豪雨で災害に見舞われた地域(鹿児島、長野など)の状況を伺った。各地の災害ボランティアセンターが、望ましい方向に機能していないケース(本来民間主体の運営であるべきところが、行政主体で運営されているなど)が見られたこと、被災者への支援が「倒壊した家の片付け」までに止まり、「市民一人ひとりの暮らしや個性への支援」が不十分であることなど、参加者の話し合いを進める上でのヒントが得られたように思う。

     また、災害ボランティアセンターは社会福祉協議会に設置されることが多いという現状に参加者の関心が集まり、石井さんから「社会福祉協議会」の成り立ちと役割、活動状況の地域差、そこで運営されている「赤い羽根募金」の中の「災害時準備金」というシステムについての情報もいただき、参考になった。

     参加者の意見交換では、岐阜では様々な分野で活動する女性は多くいるが、こと防災となると、意識の低さが伺われるようだった。また、地域防災を進める自治会、グループなどへの女性の参画率も低いため、女性や子どもの視点をどのように防災活動に反映していくかも、課題として上げられた。

<午後の部>

     午後は、午前に話し合われた内容をふまえて、今後岐阜でどのような活動が進められるか、という話題に移った。

     先回(7月)の話し合いで岐阜のテーマとしてあげられた「災害時でも安心して生み育てられる街・岐阜」の実現には、「災害=非常時」への対策として提言できることを考えるとともに、「日々の暮らし」の視点を持っている女性の能力をより一層活用できる社会作りを日常からすすめることが、災害時においても有効であるとして、双方からのアプローチを検討し、結果、次の3項目を実現に向けてすすめていくこととした。

@     日常における、女性のネットワークの強化:近く、「ぎふの女の底力(仮題)」という交流会を検討。様々な分野で活動する女性(特に、災害時に必要と思われるエリア型ネットワークの構築を目指しており、女性・子どもをサポートする活動を行っている団体やセルフヘルプグループ、女医、助産師、女性の就労支援者、託児者、美容師など)への呼びかけを行う。

A     現在市が検討を始めている「要援護者支援プラン」に女性・子どもの視点を入れることの提言(検討委員会に出席している女性が今回のフォーラム参加者にいたため出された提案):女性(特に母子家庭など困難を抱えた女性)、子ども(特に4才以下の乳幼児)を「要援護者」として認識すること、女性センターがそれらへの支援を検討する窓口になり得ることを提案していくとした。

B     災害時の避難所に設置される「要援護者用窓口」(H18改定の「災害時要援護者の避難支援ガイドライン(内閣府作成)」に、この窓口の設置と女性の配置が揚げられている)に配置する女性の人材の提案:現在、男女共同参画室が持っている人材リスト(約300名)からピックアップし、女性の人材の提案を岐阜市の全50学区においてできるよう検討する。  

     今後は上記3つの進捗状況の報告、連絡などを、主にMLを活用して行うこととした。以上
             
                                                       (中村奈津子)



防災・災害復興事始フォーラム 報告書(四日市市・第2回分)

開催日時

平成18926日(火) 午前10時から午後3時(60分休憩)

開催場所

四日市市男女共同参画センター 会議室・調理室
参加者数 6

講  師

石井布紀子さん ()コラボねっと代表  
フォーラム概要 午前、午後それぞれの概要は下記のとおり。

<午前の部>

     2回目のフォーラムでは、避難食の実験、試食(アルミ缶を使っての炊飯、ハイゼックスを使ったパンケーキ作り)を予定していたので、まずその準備に取り組んだ。約40分ほどでご飯が炊け、胡桃やレーズンを入れたパンケーキもできあがった。ご飯は一緒に調理したレトルトの親子丼やカレーとともに、パンケーキもおいしく試食することができた。お米を研がずに炊くこと、レトルト食品も水を使わずに調理できること、またサラダ油は火が入っても燃えずに消えることなど思いがけない知恵にも触れ、楽しさを分かち合うことができた。

<午後の部>

     午後は、前回からの流れ(女性センターの登録団体に2回目のフォーラムへの参加を呼びかけ、いくつかのグループからメッセージが届いているが、今回の参加グループはないこと)を報告した。

     行政の防災担当者からボランティアセンターの運営などについて質問が出され、石井さんは長野県など事例を紹介しながら、自発的なボランティアセンターのあり方などを力説された。

     石井さんは、昨今の災害地域などでのコーディネーターとしての活動から、災害時にも待っているだけではなく、自分たちから発信し、組織をつくっていたところほど元気だった。みんなの力で助け合えば避難所でも楽しく暮らせる。被災者は何もできない弱者とあきらめないで発信していこう。当事者グループとしてまとめて発信していけば行政も対応していく」と話された。

     また、話し合いの中で、いまの状況で女性の力を生かしていけるのは、3日から3週間の時期に 日頃から女性が担っているくらしの分野での目利きとして具体的な活動を展開していくことだろうと話された。

     地域の女性グループの研修で防災について取り上げるが、どのような内容ですすめたらよいかとの質問が出され、石井さんからは自己紹介の方法や会場を避難所に見たてたレイアウトの検討などの助言があった。

1月のフォーラムに向けて、石井さんの助けを借り 登録団体へのアンケートを実施し、女性センターでの備蓄品や相談へつなげる内容(困難)などの提言へつなげていくことを確認した。

     2回のフォーラムを通して、「公助と共助」について考えることができた。情報についても、行政に向けての情報、当事者への情報などの整理や発信の工夫が必要ではないかと感じた。このフォーラムの呼びかけをきっかけに登録団体や地域で活動する女性たちへの働きかけは今後も続けていく。                                    以上
                                                        (林 やすこ)




防災・災害復興事始フォーラム 報告書(静岡市・第2回分)

開催日時

平成181020日(金) 午前10時から午後3時(60分休憩)

開催場所

静岡市女性会館 研修室
参加者数 12

講  師

石井布紀子さん ()コラボねっと代表  
フォーラム概要 午前、午後それぞれの概要は下記のとおり。

<午前の部>

     講師の石井布紀子さんより、前回をふり返りながら、災害復興には課題の発掘力、迅速な課題解決のための提案力が求められていることなどをお聞きした。他会場(岐阜、四日市、名古屋)の2回目について、岐阜では子育て期にある母親支援、四日市では女性センター登録団体とのネットワークの構築、名古屋では時間の経過ごとに考え得る困難に対する対策などについて提案することになったことが報告された。

     7月の1回目をふまえた上で、受講者各自が防災について考えたことや知りたいことなどを順に指名しあって発表した。民生委員経験のある受講者から災害時に「ひとりも見逃さない運動」の紹介、ファミリーサポートに関わる受講者から携帯メール・ネットワークなどの可能性などが提案された。

     この講座の重要なキーワードは「女性と防災」であるが、災害時に女性を支援される側、弱者として捉えるだけでなく、調整力、見守り力などを発揮し、支援する側に立てることが話し合われた。そのためには日常から地域の課題に目利きの女性、リソースパーソンを増やすことが重要ではないかと講師から指摘があった。

     行政職員の受講者に対しては、講師から災害時に備えて行政職員自身のメンタルケアの予算化が必要とのアドバイスがあった。

<午後の部>

     午後に引き続き、参加者全員が話し合った。3人の行政職員からは前回に引き続き、行政の立場からの率直な話を聴くことが出来た。

     全員の話が一巡した後、来年1月に行なわれる全体フォーラムで静岡会場から何を提案するかについて話し合った。そして以下の4提案がまとまった。

@     名古屋市を中心とした災害時に女性のためのワンストップ相談窓口の設置(東海4都市のNPOや女性センターネットワークで被災地の女性を支え合う)。

A     静岡市女性会館を会場にした避難所運営シュミレーション講座の実施(地域の自主防災組織、民生委員、社会協議会、中学などに参加を呼び掛け、平常時にワークショップを中心とした講座を行い、避難所運営シュミレーションを試みる)。

B     集団生活に関わり難さを抱えた女性を支えるための仕組み構築(妊婦、乳児を抱えた母親、介護する家族や障害児を抱えた女性、DVやレイプの被害者などが抱える課題を整理し、より良い支援体制をつくる)。

C     「アイセル女性カレッジ」をはじめとした女性会館の講座受講生のネットワーク作り(地域の課題に目利きの女性、リソースパーソンになれる女性を平常時に講座によって育て、信頼関係を作りネットワークしておく)。


2回目は、日々の暮らしの中での課題を上手く災害時の取り組みに乗せていけるような提案がまとまった。                         (松下光恵)


第1回

防災・災害復興事始フォーラム 報告書(名古屋市・第1回分)

開催日時

平成18721日(金) 午前10時から午後3時(60分休憩)

開催場所

つながれっとNAGOYA セミナールーム1
参加者数 15

講  師

石井布紀子さん ()コラボねっと代表  
フォーラム概要 午前、午後それぞれの概要は下記のとおり。

                               

<午前の部>

     講師紹介の後、講師持参の阪神大震災のビデオ(約20分)を上映。映像とともに実際に阪神大震災の体験者でもある講師の具体的な解説により大震災における被災地の状況と避難所での市民の生活の実情を知ることが出来た。

     次に配布資料とともにパワーポイントを見ながら、より具体的な講義を受けた(別紙資料参照)。現在の防災の考え方の主流は、「災害」ではなく「被災者」とどう向き合うかということであり、被災者に対応する福祉・地域・人道的な部分が大きな力となる。要援護者対応の強化が叫ばれているということだった。しかし、災害弱者とは、高齢者・障がい者・外国人・子どもたちであるという認識が一般的で、女性に固有の課題は未整理のままであることから、女性の視点を持った課題抽出や問題解決の必要性を指摘された。参加者は、それぞれにメモを取りながら、真剣な表情で講師の話を聴いていた。

     講座に参加した理由を含め、参加者に自己紹介をしてもらった。(参加者は、女性センター職員、民生委員、大学生、子育て期の女性など)その後、質問を集め、午前の部は終了した。

<午後の部>

     質疑応答。また、講師がどのような経緯で今に至ったかを含め、防災コーディネーターをする上で見えてきたこととして、課題解決には、リサーチからのニーズの把握が必要不可欠であることを、さまざまな事例を基に語ってくださった。参加者と意見交換をしながら、名古屋の地域における現状や課題を探った。

     名古屋では、防災の必要性は認知されているということで、女性の当事者性にどのようなサポートが必要なのか具体的に出し合った。避難所で女性が困ること―更衣室、トイレ、生理用品、子育て期の女性はミルク、紙おむつ、哺乳瓶、心のケア(困ったことを相談できない)など。このような状況に対応できるセンターのモデルプラン、枠組みが必要だろうと話しあった。

     前述の備品がある、子どもが大声を出しても安心して過ごせる、授乳室やパウダールームがある、保健室があり、薬がもらえたり(法律上困難だが‥)休養ができる、女性のこころ、体の相談窓口がありケアしてくれる。そんな避難所があれば女性が過ごしやすのではないか、また、これらの物や事柄の、他地域への調整を促す機能を持つと良いなど、具体的な案が出された。

     今回は、女性の視点から、なかなか気づきにくい問題点が多く出された。参加者は、自分の生活と密着させて、より現実的に考えることができたようだ。今後、女性が気持ちよく生活できるように調整する女性センターを主題に提言をまとめていく方向で合意した。
                                   (高島由美子)


防災・災害復興事始フォーラム 報告書(岐阜市・第1回分)

開催日時

平成18720日(木) 午前10時から午後3時(60分休憩)

開催場所

岐阜市女性センター  和室
参加者数 11

講  師

石井布紀子さん ()コラボねっと代表  
フォーラム概要 午前、午後それぞれの概要は下記のとおり。

<午前の部>

     まず、各自の自己紹介の後、石井さんが持参された阪神大震災のビデオ(約20分)を上映。大震災における災害の状況と被災地、避難所での市民の生活の様子を映像で見て、参加者が震災時の実際について知り、災害をイメージするところから始まった。

     続いてパワーポイントでの資料をもとに、より具体的なお話をいただいた(別紙資料参照)。震災時の状況(水害・火災などの災害の種類や、大都市・農村部などの発生地域による被害の違いなど)や救助活動のフェーズごとの課題、被災地や避難所での生活における問題点と、復興に向けた支援の過程と課題、さらには防災・減災の視点での課題などを伺い、参加者はより身近なこととして理解が深まったようである。

     加えて、石井さんは上記の現状や課題の中で、特に「女性」であることで生じる困難や課題についても触れ、それが震災時には表に表れにくい状況や、「災害弱者」の認識の中に女性は含まれていないこと、今後「女性」という視点での課題の掘り起こしや課題への対処が必要であることなどをお話しいただき、午後の話し合いにつなぐための共通認識を得て午前は終了した。

<午後の部>               

     午前の講義の中で感じた疑問、感想などをざっくばらんに話し合いながら、岐阜県の地域性(とはいえ、県内でも地域ごとに状況は大きく異なる。今回は参加者が岐阜市を中心とした美濃地方の方ばかりで、美濃の状況、あるいは自分の住む自治体についての話がほとんどであった)や、災害において予想される困難、解決していきたい課題の抽出を行った。

     その話し合いに並行して、各位が付箋紙に「現状(黄色)」「課題(青色)」を書きとめていき、その後、「緊急度」「重要度」を縦軸・横軸としてクロスさせた表の中に、その付箋紙を全員で張りながら、全体の意見をまとめる作業を行った。

     上記の話し合いと作業の中で、今回は特に全般的な災害への危機感の低さ、自治会の高齢化と地域コミュニティへの女性の参画の難しさなどが現状として上げられた。また女性の視点での災害時の課題として、母子家庭、DV被害者など困難を抱えた女性が援助を求める窓口の明確化と、広く育児中の女性が抱える困難を軽減できる仕組みや支援の確保が必要との声が上がった。

     全体のまとめとして、岐阜は子育て支援の市民活動が活発であることの利点を生かし、かつ上記の課題もふまえつつ、次回の講座では「災害時でも安心して生み育てられる街・岐阜」を主題に提言をまとめていく方向で合意した。次回はボランティアセンターのスタッフなど、より支援に近い立場の人たちも参加者に加え、話し合いを深めたいと考えている。 
                                   (中村奈津子)


防災・災害復興事始フォーラム 報告書(四日市市・第1回分)

開催日時

平成18725日(金) 午前10時から午後2時30分(30分休憩)

開催場所

四日市市男女共同参画センター  会議室
参加者数 9名

講  師

石井布紀子さん ()コラボねっと代表  
フォーラム概要 午前、午後それぞれの概要は下記のとおり。

<午前の部>

     本講座の進行・予定などについて確認をした後、阪神大震災のビデオ(約20分)を上映。大震災における災害の状況と被災地、避難所での市民の生活の様子を映像で見て、参加者が震災時の実際について知り、災害をイメージすることができた。

     次に、パワーポイントでの資料をもとに、震災時の状況、救助活動の課題、被災地や避難所での生活における問題点と、復興に向けた支援の過程と課題、さらには防災・減災の視点での課題などより具体的なお話を伺った(別紙資料参照)。参加者は、日頃の関係性や情報・情報発信の重要性を実感したようだ。また、行政の防災担当者が出席しており、四日市市の取り組みや日頃感じている疑問点について意見交換することができた。

     加えて、石井さんは、特に「女性」であることで生じる困難や課題が震災時には表れにくい状況や、今後「女性」という視点での課題の掘り起こしや課題への対処が必要であることなどをお話しいただいた。いくつかの質問や感想を受け、午前の部は終了した。

     FMよっかいち、CTY(ケーブルテレビ)、三重テレビ、伊勢新聞からの取材を受けた。

<午後の部>

     午前中の講座で感じた疑問、感想などをさらに出し合い、石井さんから助言や示唆をいただきながら話し合いを深めた。男女共同参画センターや民生委員として地域で活動している人の参加が多く、現状として地域の活動のなかでの苦労や困難について意見が出された。被災地の知恵や先進的な事例などを知り、“自治力”に関心を寄せる人が多く、自分たちにできることを地道に取り組んでいきたいと考えている。また、四日市市のセンターの特徴として、建物全体が避難所に指定されていることがわかった。

     昨年センターで行った防災講座の提言の報告を紹介したうえで意見交換を行なった。

     四日市市男女共同参画センターに登録する70余の団体の活動は、幅広い分野におよび、地域での活動へと拡がってきている。また、民生委員など地域を支える活動を担っている女性たちも多い。そこにはさまざまな経験やノウハウが蓄積されている。そのような女性の視点や力を災害時にも活かし、自発的な支援へと繋げていくことが可能ではないかとの意見が出された。そのためには、日頃のネットワーク、情報の交流、情報の発信、発信手段など仕組の検討が必要であることを確認した。さらに、「災害時に想定される男女共同参画センターの8つの機能」の中の「電話相談窓口の強化」の取り組みの可能性があげられた。

     全体のまとめとして、四日市市はセンターの登録団体の活動が多様であることの利点を生かし、上記の課題もふまえ、次回の講座では「日頃のネットワークづくり・情報(発信)・相談」をテーマに提言をまとめていく方向で合意した。次回は四日市市男女共同参画センターの登録団体や相談担当者、民生委員などに広く呼びかけ、各団体の活動交流の場を設け、提言に向け話し合いを深めたいと考えている。また、避難食の試食も計画する。
                                   (林 やすこ)


防災・災害復興事始フォーラム 報告書(静岡市・第1回分)

開催日時

平成18726日(水) 午前10時から午後3時(60分休憩)

開催場所

静岡市女性会館 研修室
参加者数 24名

講  師

石井布紀子さん ()コラボねっと代表  
フォーラム概要 午前、午後それぞれの概要は下記のとおり。



<午前の部>

     講師紹介、本講座の趣旨説明の後、講師持参の阪神大震災のビデオ(約20分)を上映。映像とともに実際に阪神大震災の体験者でもある講師の具体的な解説により大震災における被災地の状況と避難所での市民の生活の実情を知ることが出来た。

     次に配布資料とともにパワーポイントを見ながら、「防災」「減災」についてより具体的な講義を受けた(別紙資料参照)。阪神大震災の教訓をもとに、住民と行政各々の時間経過のフェーズごとに必要な災害対応について学んだ。日頃の地域力が非常時の底力になること、災害後に求められる3週間、3ヶ月、3年間、それぞれに必要な見通しなどに、頷く受講者が多かった。

     阪神大震災から数年を経ての課題整理により、直接被害の復興が進んでも、こころの問題解決は遅れ、特に「女性」であることで生じた困難や課題は未整理のままであることが、講師から報告された。「災害弱者」の認識は女性自身にも希薄で、今後、被災女性のニーズを想定した上で、共助を充実させる対応策が必要であることを知り、午前の部は終了した。

<午後の部>

     参加者全員がテーブルを囲んで、午前の講義の感想などを交え自己紹介した。御殿場市役所から1名、静岡市役所から3名の行政職員の参加があった。また、神奈川県から1名、静岡市外からの参加が7名あった。

     自己紹介の後、午前の講義を受けて質疑や話し合いを行った。行政の立場からの率直な話を聴くことが出来た。また、県内各地から参加の受講者からは、地域コミュニティでの日頃の女性の参画の難しさ、災害時に地域の組織は実際に機能するかなど、現在の地域力に不安を感じている意見が出た。しかし、全体に一般論のような意見に終始してしまった。

     全員で共通認識を持とうと20人以上の参加者をグループ分けすることをせず進めたため、充分な課題抽出とまではいかなかった。最後にポストイットを使って、災害時に必要だと思うことを、各自、書き出した。事務局でまとめ、次回までに参加者に返すことを約束し、午後の部を終了した。

     今回は、一生懸命頭で考えてはいるけれど、自分の感性や暮らしの実情と照らし合わせて考える部分が、参加者全体に足りなかったように思われる。静岡は何十年も前から東海地震に備え、公共施設や住宅の耐震工事が進み、自主防災や災害ボランティアも組織されている。それを静岡の利点としてとらえながら、日々の暮らしの中での課題意識を上手く災害時の取り組みに乗せていけるよう、次回の講座の組み立てを講師とやり取りしていきたいと考えている。 
                                    (松下光恵)

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