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内閣府主催
2008年度 男女共同参画ヤングリーダー会議 報告書


2008年10月30日、10月31日の2日間、内閣府主催 男女共同参画ヤングリーダー会議が開催されました。
NPO法人 参画プラネットのスタッフ 高島由美子さんが出席しました。


2008年度 男女共同参画ヤングリーダー会議 報告書

特定非営利活動法人参画プラネット 島由美子

男女共同参画ヤングリーダー会議とは、男女共同参画推進のために、各種団体の有機的連携と更なる発展的取り組みを目的とした内閣府男女共同参画局主催の会議である。男女共同参画に関する施策の説明や意見交換のために、全国各地からさまざまな立場の男女が集まった。
第1日目は施策説明と講演での学びの後、テーマ別の班に別れ、活動報告や意見交換を行った。第2日目には、班別討議を行い、午後それぞれの代表者が討議結果を発表した。
以下、主な内容を報告する。

■講義 等
@「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」の推進について
                             内閣府政策企画調査官 船木成記 
  • 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の認知度は、「名前はきいたことがある」人を含めると3割強で言葉としてはかなりメジャーに成りつつある。
  • 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)とは、仕事と生活の二項対立や、二項を同等にすることではなく、生活の中のWorkの位置づけであり、人によって違いがあり、同じ人でもライフステージによって変わるものである。
  • 調和とは、「バランス」よりも「ハーモニー」のイメージが近く、より柔軟に合わせられ、さまざまなパターンがあるものと考えられる。
  • 共働き世帯の増加など、社会情勢の急速な変化に対し、国の制度設計が追いついてゆかない状況があり、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)が議論され始めた。
  • 高齢化社会、長時間労働、非正規雇用の増加、少子化、両立支援の問題など、さまざまな社会課題が、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)と関連がある。
  • 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の理想と現実はかなり隔たりがある。
  • 実現に向けて、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が、政労使合意の上、調印された。(H19.12.18)
  • 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)推進のための国民運動の考え方として、「ワーク」を見直し、変えることにより、それぞれの「ライフ」を充実させるための時間が創出され、さらに「ワーク」の生産性も向上するという、より良いQOLのための循環ができる。
  • 納得のいく人生の選択のために「働く意味」を考える時期に来ている。
「カエル!ジャパン」のカエルのキャラクターを始めとする、ビジュアルで訴える手法は快活でわかりやすく、男女共同参画の堅いイメージを払拭するようで、とても良かった。 広く国民に知らしめるためには、有効な方法だと感じたし、そのためにはもっと人の目に触れる機会を増やす必要がある。ぜひそのための予算を増やし、工夫を凝らして欲しいと思った。

A「地域における男女共同参画の推進について」 立教大学社会学部教授
                                         萩原なつ子
  • ご自身のこれまでの人生。就職活動において大卒女性がエントリーもできなかったこと、地方行政の管理職として登用された経験、現在行っている全国の祭り文化の調査などをふまえ、「機会と結果の平等」すなわち、機会や行き方の可能性が男女平等であること、その達成に向けてお互いに協力しあうことが重要である。
  • 「箱入りオヤジのうた」「たまにはリフレッシュ」などの地域社会における古い慣習や慣行を風刺した替え歌を披露。
  • 地域づくりに必要なのは、一人ひとりの気づき、身近な地域を見つめること、NNP(Non Profit Person)自ら自発的に動く人である。
  • 地域のヤングリーダーとしてここに集まった人たちに期待するのは、「ノットワーカー」である。人の力を見出し結い上げること、人と人をつなぐ力を持つこと。
  • 地域づくりも男女共同参画も、個が集まってつながっていくことの重要性を意識すること。一人ではできないことが、つながることで可能になる。
  • 地域社会の新たな価値を多様に創出するために、野を良くする「野良仕事」ならぬ、社会を良くする「社良仕事」を共にしよう。
萩原先生の替え歌は、明るい共同参画、親しみやすい共同参画を広める、とてもよい手段である。参加者みんなの大合唱は楽しかった。また、後出しじゃんけんのゲームでは、常に「勝つため」に慣れている私たちが、変わるためには固定観念を捨てることが必要であることを教えてくれた。関心の薄い人たちに、実は自分と深く関っていることであると思ってもらうには、難しい講義や説明よりも、親しみやすく、楽しいことを目や耳、身体を使って感じることが効果的なのだと、身をもって感じた。

■班別討議

1班   女性の活躍の促進
2班A  男女共同参画を進める上での効果的な活動のあり方
2班B  男女共同参画を進める上での効果的な活動のあり方
3班A  ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)
3班B  ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)
4班   広報・啓発活動

以上の6班に別れ、活動報告、班別討議の後、発表を行った。筆者は、3班Aに参加した。「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」という大きなテーマを短い時間の中で話し合うために、それぞれの考えを述べることから始まり、関心の集まった「次世代を育てるワーク・ライフ・バランス教育」を中心に討議を進めていくこととした。以下にポイントを要約する

  • 共同参画とは、そもそも男性か女性かではなく、人種、国籍などを含めた人権問題である。人権尊重を基本理念として、あらゆる男性、女性、あらゆる人々が歩み寄って新しいステージを創造するために、ワーク・ライフ・バランスを活用するべきである。
  • 新しいステージの創造のためには、今後の社会や未来を担う子どもたちへの教育が不可欠である。
  • ワーク・ライフ・バランスとは、人としてどう生きるか、また人生を考えることであり、多様な価値観が認められるべきであるということが、子どもたちに浸透するように、長い期間にわたり継続して伝えていくことが大切である。
  • 子どもたちへの教育は、就学前、小学生の早い段階からが望ましく、それに付随して、親世代、団塊世代の教育も必要であり、総じて世代間をつなぐことも必要である。
  • 地域の学校教育への取り組みとして、兵庫県阪神南地区の事例を紹介する。全国的に活躍されていて、男女共同参画の視点を持った方を講師として、出身校へ派遣する。子どもたちへの身近な良きロールモデルとなる。
  • 学校教育の事例として、イギリスのシチズンシップエデュケーションを紹介。国語、社会、理科などの個別科目ではない横断的、総合的な人権教育として成果を挙げている。
  • 地域に向けての支援活動として、団塊世代を地域に取り組む三重県四日市市の事例を紹介。団塊世代の人が、地域デビュー講座を経て、人財バンクに登録し、地域のニーズと人財をマッチングさせるシステム。共にワーク・ライフ・バランスの向上を始めとするメリットがある。(「人財ポケット四日市」)
  • 当然であるが、学校や地域と共に、家庭での教育が大事。固定的な役割分担意識の無い親の背中を見せることが教育につながる。
  • あらゆる世代を超えて、ワーク・ライフ・バランス教育の継続が必要であり、市民レベルの共同参画意識の底上げが相乗効果をもたらす。
会議に参加することで、全国各地の地域特性や課題などの違いを認識することができ、さまざまな活動報告を聞くことにより、今後の自分自身の活動の刺激となった。今回のネットワークが、さらにつながり深まり、共同参画の浸透につながることを期待している。有意義で、充実した2日間であった。



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